旦那様はFBI

これは驚きのビジネス書です!!
ビジネスマンなら一度は悩んだ事のあるグループディスカッション、皆さんはどの様に対応されているでしょうか。最近はファシリテーターという職業があり、プロのファシリテーターが会議を進行されると驚くほど活発な意見が出て、充実した時間を過ごす事ができるようになりました。でも、皆さん自身が優秀なファシリテーターになるにはどうしたら良いのでしょうか。
など、ビジネスを行う上で「なるほど」と思える事が筆者の実体験を元に小説として書かれているのが本書です。もちろん、結婚前から小説は始まりますので、恋愛時代、結婚準備の部分はおもしろおかしく軽快に読み進める事ができます。
ただ、通常の恋愛+結婚生活小説と異なるのは、筆者が結婚しても第一線で仕事を続けるという強い意思を持っていること、そしてそれを全力でサポートする夫が本当のFBIの現場捜査官だったということ。これにより、筆者の仕事の仕方がFBI流へと変化していきます。

筆者がフリーランスのコピーライターといこともあり、士業を含む「自分の能力で商売」をされている方に広く参考になると思います。少なくとも女性で子育てしながら、第一線で長年コピーライターとして活躍されている筆者なので、それだけでも十分得られるものがあると思います。
例えば、「生涯最低年収を決めて自分をテストしろ」という内容がありました。これは、メインとなる収入源での最低年収を決めてそれを下回るなら、今後の生き方を考えろ!というとこだそうです。
例えば、社労士事務所の場合を例に取ります。社会保険の得喪や労務管理をメインに業務を展開していたが、あるときから売上や利益が落ちてきたとします。そうすると個人事業主である社労士は、別の食べ口を探すことが多いと思います。社労士に関連する業務、例えば本来なら中小企業診断士が中心に申請されている中小企業庁関連の助成金申請やFP業務など。こうやって売上や利益を維持したとしても、それは駄目だよ、ということです。本来のメイン業務が下り坂になっていることをはっきり現実問題として受け止めて、その上でどう対処するのか、新たにメイン業務を作り出す覚悟を付けるのかどうか、を自分に迫り選択する必要があると言われています。深い意味がありますね。考えさせられました。

後は、FBI故にできること、「えっ、そんなこともできるの、日本なのに!」と思えることも色々と書かれています。さすが超大国の連邦捜査機関!と思ってしまいます。

フリーランスの方、ビジネスマン、に強くお勧めの書籍です。そして国際結婚を悩んでいる方に少しだけお勧めです。

仕事休んでうつ地獄に行ってきた

よく「うつは心の風邪」と言われますが、これは間違えていると思います。この本でも指摘されておりますが、風邪のように2~3日薬を飲んでゆっくり休めば治るものではありません。私は「うつは心の癌」に近いものではないか、と思っています。もちろん未だ5年生存率の低い癌と比較するのは問題かも知れませんが、1日仕事を休むか休まないかの「風邪」に例えるのは大きな間違いだと思っております。

私が過去出会ったうつ病の方や適応障害等の方々を見ていると「うつ」が癌と同じ類の難しさを抱えていると思うのは、以下のような共通点があるように感じるからです。
1. 最悪の場合、死亡することがある
2. 初期症状が自覚しにくい
3. 自覚した時には相当進行しており、すぐに仕事を休職する(寝たきりになる)可能性がある
     →昨日まで普通に仕事をしていて、翌日午前中に体調が優れないといって早退した後、1年以上休職になった人もいます。
4. すべての人を完治できる医療技術が現時点で確立できていない
5. 治療が長期化する
6. 再発する
7. クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)に大きな影響を与える
などです。とても風邪といえる代物ではありません。
もちろん、高度な専門医にかかってきちんと「治療」する必要があります。

この著書は、筆者の経験を小説風に書かれていますので大変読みやすくなっています。周りでうつ病の方がでたら、まず手にとってお読みいただくと良いのではないかと思います。うつ病の人にこう接しなさい、ではなく、うつ病になるとこうなるのだ、ということが克明に書かれています。これは逆に言えば周りの人がどうすれば良いのか、とい答えでもあります。

薬を飲まないで過ごした場合に、どのように悪化していくのかも日を追うように丁寧に記載されており、小説を読むようにハラハラ・ドキドキしながら読み進めました。筆者の場合、薬を飲まないで治そうとして結局救急車で運ばれ入院することになるのですが、専門医の治療を受けないことも危険性も実体験で書かれているので、専門書よりははるかにリアルに理解できます。

良くサラリーマンの方が心療内科にかからずに頑張って勤め続けてある日、バタッと会社に来なくなりますが、それがどのような状態で推移して行いったのかも、この本を読めば分かるようになります。そいう意味では全ての管理職(上司)の方にも、ぜひお読み頂きたい一冊です。ある程度の会社規模の人事部や総務部でメンタルヘルスをご専門に扱われている方は、ある程度経験があり、うつ病の方に接するにも慣れておられると思います。これに対して、一般の管理職の方は、会社で行われる数時間のメンタルヘルス教育程度でなかなか具体的な接し方が分からないのではないでしょうか。恐る恐る休職中の部下に接するしかない、と感じられている方も、研修などで学ぶ「教科書」と違う生の体験談を読んで頂くことでご自身の成長にもつながるのではないかと思っております。

ある日、いきなり同僚がうつ病で会社に来なくなる、自分が限界点を超えてしまって鬱病による休職になる、ということが日常で見られるようになってきました。うつ病が少しでも減るように願ってなりません。

コンサルタントの教科書

この本は独立後開業された方に紹介されて読みました。タイトルに教科書とあるだけあってコンサルタントを業とされている方にとって参考になる部分があると思います。私も他の社労士に紹介しました。
この本の筆者は、月額30万以上という高額の顧問契約をされています。ここが社労士業界とは大きく異なる部分です。社労士の場合、顧問契約の月額は決して高くはなく、東京でも最低5,000円/月というのを聞いたことがあります。社労士によって顧問料に対する考え方は千差万別だと思いますが、士業も民間企業である以上、高付加価値の商品を高価格で販売する方向に進むべきだと思っております。少なくとも私はそうなりたいと思って日々仕事をしております。
一般的に社労士事務所では、社労士1名~数名に加えて社労士の2~3倍程度の非社労士のスタッフで構成されております。この為、社労士事務所というビジネスは「比較的低価格の商品も販売している会社」と言えます。これに対して筆者は一人で活動し、月に1社あたり30万の顧問料を頂いているそうです。こうなると、自分一人でできる限界というものにぶつかります。これは筆者も考えられており、すなわち自分一人でできる範囲のお客様と密に付き合う、という方針を取られているようです。
社労士事務所の場合、東京や大阪などの一部の大都市を除けば社労士が一人の事務所が圧倒的に多数を占めます。この為、自分の名前を売って、自分のスキルで勝負、という考えが根底にあるように思います。では筆者の様に「高価格商品を売る」商売を目指しているのか、と言えばそうではないと思います。それは、最初一人から始めた社労士事務所が最初に雇用する従業員は非社労士が圧倒的に多いからです。自分でさばけなくなった仕事をバックオフィス的にやってもらうスタッフという位置づけです。資格商売である以上、ある程度このような考えかたはありだと思いますが、社労士と非社労士では社労士の方が圧倒的多く、かつ一人一人の社労士が自分で稼げるような事務所を目指して行くべきではないかと思っております。なぜなら、民間企業では従業員の一人一人がお金儲けをするのが当然だからです。社労士事務所では一人の社労士を非社労士のスタッフがお手伝いをする、という構図が多いのですが、これは民間企業の常識から大きく外れているのではないでしょうか。