この本は独立後開業された方に紹介されて読みました。タイトルに教科書とあるだけあってコンサルタントを業とされている方にとって参考になる部分があると思います。私も他の社労士に紹介しました。
この本の筆者は、月額30万以上という高額の顧問契約をされています。ここが社労士業界とは大きく異なる部分です。社労士の場合、顧問契約の月額は決して高くはなく、東京でも最低5,000円/月というのを聞いたことがあります。社労士によって顧問料に対する考え方は千差万別だと思いますが、士業も民間企業である以上、高付加価値の商品を高価格で販売する方向に進むべきだと思っております。少なくとも私はそうなりたいと思って日々仕事をしております。
一般的に社労士事務所では、社労士1名~数名に加えて社労士の2~3倍程度の非社労士のスタッフで構成されております。この為、社労士事務所というビジネスは「比較的低価格の商品も販売している会社」と言えます。これに対して筆者は一人で活動し、月に1社あたり30万の顧問料を頂いているそうです。こうなると、自分一人でできる限界というものにぶつかります。これは筆者も考えられており、すなわち自分一人でできる範囲のお客様と密に付き合う、という方針を取られているようです。
社労士事務所の場合、東京や大阪などの一部の大都市を除けば社労士が一人の事務所が圧倒的に多数を占めます。この為、自分の名前を売って、自分のスキルで勝負、という考えが根底にあるように思います。では筆者の様に「高価格商品を売る」商売を目指しているのか、と言えばそうではないと思います。それは、最初一人から始めた社労士事務所が最初に雇用する従業員は非社労士が圧倒的に多いからです。自分でさばけなくなった仕事をバックオフィス的にやってもらうスタッフという位置づけです。資格商売である以上、ある程度このような考えかたはありだと思いますが、社労士と非社労士では社労士の方が圧倒的多く、かつ一人一人の社労士が自分で稼げるような事務所を目指して行くべきではないかと思っております。なぜなら、民間企業では従業員の一人一人がお金儲けをするのが当然だからです。社労士事務所では一人の社労士を非社労士のスタッフがお手伝いをする、という構図が多いのですが、これは民間企業の常識から大きく外れているのではないでしょうか。