この本は、タイトルと内容に多少の齟齬がある気がします。良く言えば、全ての社会保険労務士及び職員に必読の書だと思います。社労士の独占業務について詳細に記載されております。社労士試験に社労士法が出題範囲に含まれておりますが、なかなか社労士法をきちんと勉強する機会は少ないと思います。社労士会の役員になって始めて社労士法を本格的に勉強した、という話も聞きます。このようにまとめて社労士法を勉強してみたい方にも大変オススメの書となっております。この本は小説風の作りになっていますので、1ページ目から順に気持よく読み進めていけます。拾い読みや飛ばし読みをする必要がありません。そのくせ、きちんと勉強できる書き方になっており、他にない充実した作りです。先日も助成金申請書などにある事務代理と提出代行の違いを、この本で確認しましたが、細かな点で気になる事や念のため確認したい事があると都度確認できるのも、この本の良い所です。
専門書を執筆する方の参考にもなるかと思います。
特に圧巻なのは、社労士の歴史について詳述されている部分です。過去の歴史から始まり著者が社労士会連合会の会長を退任されるまでの主要な出来事が記載されております。その中でも、税理士会との独占業務の範囲をめぐるやり取りは時系列で相当詳しく書いてあり、当時の社労士会連合会の会長であった著者であるからこそ知っている内容、書ける内容も相当含まれております。ここには、いわゆる「年末調整」業務に対する「答え」が記載されていると言っても良いと思います。税理士との隣接業務でお悩みの社労士の方、また税理士の方には、せひ一読されることをお勧めします。
また、社労士事務所の採用試験にも適しているかも知れません。
私も二度ほど通読しましたし、必要に応じて部分的に読み返しております。
他に類を見ない名著だと思います。