概要
|
労働基準監督署(以下監督署)から労働基準監督官(以下監督官)が会社に来て、労務管理上で法令違反が見つかれば指摘して「是正勧告書」を手渡されます。ここでは、この監督署の調査についての対応方法を記載します。
|
監督署の調査
監督官は、「労働基準法」と「労働安全衛生法」に違反がないか調査を行います。その調査には下記の4種類があります。
定期監督
|
労働基準監督官が年度の計画をもとに、あらかじめピックアップした事業所に行う監督です。
ほとんどの場合、事前に会社を訪問する日時の連絡があります。その際に、当日準備しておく書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など)を伝えられますので、準備して当日を待ちます。
|
申告監督(「臨検」とも呼ばれます)
|
労働者から法令違反等の申告があった場合に、その申告に基づき行う監督です。
法違反があることを前提にして調査を行いますので、通常の定期監督よりも厳しくなります。
|
災害時監督 |
労災(労働災害)が発生した場合に、その事業所に対して行う監督です。
|
再監督
|
定期監督等で発見した違反が是正されたか否かを確認するために行う監督です。
|
調査への対応
是正勧告を受けたら、期限までに対策を講じて(法違反を解消して)、監督署に「是正報告書」を提出する必要があります。
是正勧告は、法的な強制力はありません。「行政指導」であるため、あくまで任意に是正するという形になります。
ただし、是正勧告で指摘された法違反を正す意識がなかったり、是正報告書の提出期限を守らず長期間にわたり提出しなかった場合などは、悪質であると判断され検察に送検されることがあります。もちろん、送検されたからといって必ず起訴されるわけではありませんが、起訴され裁判になると社会的な信用問題も失墜しますし、多大な費用と時間を費やすことになります。有罪判決がでると前科者になってしまいます。このような最悪の事態を避けるためにも、必ず法違反状態を解消して、直ぐに是正報告書を提出する必要があります。
なお、監督官の調査を無視したり非協力的な態度を取るのも問題がります。なぜかといえば監督官は「司法警察官」であり、捜査権を持っているからです。(警察官や海上保管官、麻薬Gメンなどと同じですね)ちなみに税務署員は司法警察官ではありません。少し極端ですが、税務署職員が、捜査権を行使して強制捜査を行うなどいうことはできません。
そういう意味では、税務署職員よりも労働基準監督官の方が、会社からすると怖い存在といえるかもしれません。
労働基準監督官による調査
実際に、どのように調査が行われるのかを以下で説明します。
まず、調査は、会社に監督官が訪れて、会社内で実施されます。調査時間は、特に大きな問題がなく工場などの現場がない場合で、おおよそ2時間程度です。いわば最短でも2時間程度の時間はかかると思って下さい。
調査(臨検)が行われる際には、会社の事務所内で下図の様に監督官を前にして座り、監督官からの質問に答えて説明をしていくことになります。
どのような目的で調査に来られているかにより質問内容などが異なりますが、雇用契約書、出勤簿、賃金台帳、36協定などを中心に確認されます。
やはり未払い残業代や、サービス残業代の有無などは厳しく確認されます。出勤簿と賃金台帳を元に監督官が電卓で簡単に残業代を計算して、賃金台帳と合っているか、なども確認されます。
監督官の調査は、企業経営者の方でもなかなか経験のないものです。きちんと労務管理ができていれば全く心配ありません。
ただ、賃金台帳や出勤簿、場合によってはタイムカードの場所なども確認されます。もし、監督署から調査や臨検の通知が来たら、顧問社労士又は近くの社労士に連絡し、一緒に立ち会ってもらうのが良いと思います。
私は基本的には監督署の調査や臨検には立ち会いうようにしております。
是正報告書
監督官から是正勧告書を手渡されたら、その内容に添って自社の労務管理上、違法行為がある箇所を直していきます。そして指定された期日までに是正報告書を作成して監督署に提出します。これで一連の対応は終了となります。
お問合せ&ご相談
弊所の社労士が、監督署からの調査(臨検)に立ち会わせて頂くこともできますし、是正報告書の作成を一緒に進めさせて頂くこともできます。一度お問合せ下さい。また、無料相談も承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。
スポンサード リンク